歯科遠隔医療オフィシャルブログ

歯科遠隔医療を考えるオフィシャルブログです。

痛みを感染す(移す)?

病院で風邪を感染(うつ)されたという話から。

 

teledental.hatenablog.com

 

デンマークで痛みの研究をしていた頃、痛みは感染(うつ)せる(移せる)のか、またはひとの痛みは体験(体感)できるのか、と考えていたことがあって、
結論から言うとどちらも無理なんですけど。

そのとき考えたのが解離性同一性障害(多重人格障害)のひとについて。

 

例えば人格を2つ持っている人がいて、人格1は健康な青年で人格2は慢性疼痛になやむ女性(50台前半)だとする。問題は全く同じ身体なのに中身(経験や精神心理状態)が違うってこと。


健康な青年は別人格の女性の痛みを感じるのかどうか。


身体的に怪我をしているとか、口内炎があるといった侵害受容性疼痛は痛いだろうし、神経障害があって痛いってのもあるだろう。ただ、痛みの感じ方は経験や心理状態で異なるから、全く同じ体で同じ傷でも痛みの程度や感じ方は異なる


さらに、心因性疼痛(最近は心因性疼痛ってあまり言わなくなってきたけど、心の状態が主に関与する痛み)や中枢感作なんかはどうなるか。中枢感作や末梢感作は神経障害が起こっているというか、神経系になんらかの変化が起こっているのは間違い無くて、それは人格が変わっても残るだろうから痛みも残るだろう。でもうまく説明できないけどちょっと良くなる気がする。心因性疼痛はなくなると思う。

 

まとめると、全く同じ身体だったとしても、結局ひとの痛みはその人(人格)にしかわからないという当たり前な結論になりました。


痛みを移したって、痛い人に憑依したって、痛みを本当の意味で共感(共有)することは無理なのです。
それをふまえて私たちができることは、

"あなたの痛みはわからないけどわかりたい"、

共感的態度なんていう小賢しいテクニックなんかじゃなくて、痛みを共有したいとおもうバカみたいにまっすぐな思いで患者さんと向き合うことなんだと思います。

 

遠隔関係なくなっちゃった。

 

こちらもよろしくお願いします^ ^

 

プロフィール
長縄拓哉(ながなわたくや)

初期研修医時代から東京女子医科大学病院、歯科口腔外科学講座で口腔腫瘍、顎顔面外傷、口腔感染症治療に従事しそれぞれ認定医資格を取得。デンマーク・オーフス大学に留学し口腔顔面領域の難治性疼痛について研究。口腔顔面領域の感覚検査器を開発し、国際歯科研究学会議(IADR2015, ボストン)ニューロサイエンスアワードを受賞。2015年に東京女子医科大学病院に口腔顔面痛み外来を開設。統括医師として難治性疼痛患者の治療を行っている。文部科学省科研費を獲得。Neurotalk2017(スペイン)シンポジスト。医学博士。株式会社メドレー仲介型販売取次店。日本口腔顔面痛学会評議員。日本口腔内科学会代議員。